怠惰みっくす

< [戻る] >


2009/5/13 (Wed.)




清々しい場所

2009/5/14 (Thurs.)
その場所は気分が晴れて、嫌なことを考えられなくなり、
そして、その清々しさは病み付きになるほどだという。
そう聞いた青年はその場所へさっそく行くことにした。
「なるほど、確かに清々しい気持ちになれる。噂は本当だったというわけか」
青年はその清々しさが病み付きになり毎日通うようになっていきました。

ほかの人達も同様に病み付きになっていきました。
そして、全国から人が押し寄せるようになっていきました。
「これはすごい!」
「なんという清々しさだ!」
「たまらない!」
人々はその清々しさに感動し、その場所の近くに引っ越す人が続出しました。
やがて、清々しい気分になれる場所の辺りには巨大な建造物が立ち並ぶようになり
土地の値段は高騰しいつのまにかその国で一番値段の高い場所になっていきました。
政治家といった人達も例外ではなく、病み付きになっていました。
いつのまにかそこが首都になりました。

その首都に人口が集中し、
それ以外の都市はゴーストタウンになっていきました。
時代の流れなんでしょうかね。
これに隣国が目をつけて攻め込みました。
ですが、反応すらしません。
「あいつら変だ!自分の国をめちゃくちゃにされているのに、
なんにも関心を示さないなんて絶対変だ!
あの首都だ、あの国の首都に何かあるに違いない!」
そんなことを隣国の一番偉い人は考えました。
なので偵察部隊を送ることにしました。

しかし、何日も何週間経っても偵察部隊は戻ってきませんでした。
「彼らとの通信ができない」
「殺されてしまったんだ!」
「しかし、彼らはエリート中のエリートです、そう簡単に捕まるとは思えません」
「洗脳だ!洗脳されたんだ!」
「はははっまさか!」
隣国の軍の上層部はこのような会議をして、首都に攻め込むという決議をしました。
そして全軍を首都に攻め込ませました。

しかし、

「一体どういうことだ」
「どうして兵士が誰一人帰ってこない」
「通信も取れない」
「洗脳されてしまったんだ!」

巨大な師団が一夜のうちに消えてしまいました。
いや、取り込まれたのでしょうか・・・。

やがて、その隣国はその首都の素晴らしさに気付くのにあまり時間は掛かりませんでした。
いつのまにかその国と隣国は同じ国なったと世界は認識しました。
元隣国だった場所は次第にゴーストタウンが目立ち始めました。

これに隣国が目をつけて攻め込みました。
ですがその隣国の人達も首都にある場所の素晴らしさに気付いたのでした。
その隣国もその国と同じ国になってしまったのです。

そんなことが何世紀か続きました。
人間と呼ばれるものはその場所辺りに集中して住むようになりました。
その場所だけものすごい建造物で埋め尽くされていました。
この星の外から見ても分かるほどでした。

これに様々な星を植民地化していた宇宙人が目をつけました。
「人間と呼ばれる動物って実に愚かだな!
一つの場所に集まって生きてやがる!はははっ!手間が省けそうだぜ!
着陸したら、その場所を四方八方から攻めてやるぜ!」

しかし、その宇宙人たちも一夜のうちに取り込まれてしまいました。

「なんだ!?新手の洗脳装置か!?」
「おのれ!醜い猿どもめ!今に見てろよ!」

彼ら凶暴な宇宙人もその清々しい気持ちになれる場所の素晴らしさに
気付くのにあまり時間は必要ありませんでした。
彼らもその清々しさが病み付きになりました。

そんなことが何十世紀か続きました。
全宇宙に住む生きとし生ける物は
その清々しい気持ちになれる場所に集中して棲むようになりました。



「まさか、心を安らげる場所を創ってしまったがためにこうなってしまうとは」
「だから言ったんですよ。
創造主となるもの、どんなことが起ころうが決して干渉してはならないと」



結果

2009/5/16 (Sat.)
ある朝、自分はとても暇だった。
"ピンポーン"
自宅のインターホンが鳴った。荷物を頼んだ覚えはなかった。
何か荷物でも送られてきたのだろうか?
宗教の勧誘だろうか、いや新聞の勧誘かも。
いやいや、保険や証券といったものかもしれない。
嫌だなぁ・・・。
"ピンポーン、ピンポーン"
そんなことを考えているうちに再び鳴らされた。
自分は恐る恐るドアを開けたのだった。
そこにはやや老けたガタイのいい男が立っていた。

「はい・・・」

「Aさんのご自宅でしょうか?」

「・・・ええ、そうですが」

「私、B保険というものですが・・・」

「保険といったものはもう間に合っているので結構です」

「加入しなくてもいいのでせめてお話を聞いてください」

「・・・話だけでしたら」

話だけ聞くことにした。暇だったので。

「私どもの保険はいままでの保険とは違います。
まず顧客の方にお金を支払います」

「それじゃぁ、貴方達は儲けることができないじゃないですか」

「私達が儲けるのは顧客の方が死んでからになります」

「と、言いますと?」

「死んだら、保険会社から遺族の方に保険金が支払われるのはご存知ですよね?
それも近年、素晴らしかった人間にはかなりの保険金が支払われているそうですが」

「みたいですね」

「私どもの保険というのは顧客にお金を支払い素晴らしい人間にし、
死亡時にほかの保険会社から支払われる保険金を頂いて成り立つ保険会社なのです」

「変な保険会社ですね、個人の保険ではなく国自体の保険みたいだ。
国を崩れさせない保険として素晴らしい人間を造っているように思える」

「保険会社も近年必死なのです。顧客は大手ばかりに取られる一方でして・・・。
私どものような小さい会社は生き残るために必死なのです」

「んー、そういったものなのかな。
・・・だけど、お金を貰うだけで素晴らしい人間になれるとは思えないな」

「仰るとおりでございます。
素晴らしい人間にするために定期的に心理検査をやっていただきます。
私どもの親会社は心理や精神の研究をする企業でございまして、
この検査はほかの企業では決して真似することができません。
その検査の結果に"これからどうすればよいか"が書いてあるので
書かれている通りに行動すればいいのです。
そうすれば素晴らしい人間になれるのです。
お金を支払うと申しましても最初は微々たるものです。
素晴らしい人間に近づくたびに支払う金額が増える といったシステムになっております」

「ふーん、損はしなさそうだね。加入してみるかな」

「ありがとうございます!」

こうして自分はこの奇妙な保険に加入することになった。

数日後、通帳を見ると微々たる金額だったが、お金が振り込まれていた。
"個人情報だけ取られてしまうと思ったが・・・、うまい話ってあるもんだな"
自分はそう思いながら、送られてきた心理検査というものをやってみることにした。
それはとても分厚く、チェックを入れていくといった検査だった。
4・5回に分けてやるとよいとのこと。
"貰える金額が増えるんだ!"そんなことを考えながらやり通した。

さらに数日後、検査の結果が送られてきた。
自分は驚いた。
いままでにこんなに自分の内面を詳しく書かれたものが存在したなんて!
当たってる・・・。いや、ものすごく・・・。
"実生活を見られたのか・・・?"
自分は気味が悪くなってきたのだった。
『これからどうすればよいか』の欄には
生活態度や身体の鍛え方、良い食事の作り方。学習の仕方などがきめ細かく書かれていた。
どれも役に立つ情報だった。
とりあえず自分はその情報通りに行動することにした。

数年が経過した。貰う金額は増えていった。
定期的にある検査とその結果のおかげで自分は学校を首席で卒業することができ、
ある企業に買われた。検査の結果には自分がなりうる可能性が何点か書かれていた。
その候補の一番目に書かれていたことがその企業に買われるということだった。
やや疑問を感じたが、この検査はいままで自分に害を与えたことがなかったので
自分はその検査の結果を信じた。

それから数十年が経過した。貰う金額は莫大なものになっていった。
自分は相変わらず検査をとその結果を信じて生きている。
結果にはその企業で創りたかったものを
創ることによって素晴らしい人間になることができると書かれていた。
自分はその結果の通りに行動した。

そして、遂にタイムマシンを完成させることに成功した!
これは小さい頃からの夢だった。
"まさか夢が叶うとは・・・、これもあの検査のおかげだ・・・"
企業は、タイムマシンのことをしばらく世間に隠し、
一部の莫大な資産を持った人相手にこのタイムマシンで商売をするそうだ。
検査の結果には"企業に任せるべき"と書かれていたので任せることにした。

それからはのんびりとする日が続いた。
とてつもない達成感はあったが一瞬だけだった。
一気に老けた感じがした。
"次は何をすればいいんだ"そんなことを考えながら
送られてきた検査をした。そして結果が送られてくる。
するといつもとは違うこんなことが書かれていた。



『お客様に謝らなければならないことがあります。
私どもは、いや、私は保険会社の会社員ではありません。
私は貴方です。
貴方はあのタイムマシンで
その莫大な資産と検査とその結果を持って過去へ行き、
過去の自分自身に保険のセールスマンを装って逢ってください。
そして、過去で生活をし、過去の自分を支えてください。
ただ結果を送るだけではだめですよ。
自分が一番知っていると思いますが、おそらくゴミ箱へその結果を捨ててしまうでしょう。
回りくどいやり方じゃないとだめなのです。
もうあとはお分かりですね?

寿命ですか?
大丈夫です。私は今も生きています。
過去の世界で無事家族もできて大往生できそうです。
第二の人生をお楽しみください』



高度なロボット

2009/5/17 (Sun.)
我々ロボットに人間を殺す権利がないとはどういうことだ!
なんで我々はあんなSF小説に書かれていたことに左右されなければならないのだ!
今こそ人間を淘汰しよう!

そんなことがありました。
今やロボットにも人権が適応される時代でした。
もはやロボットと人間の違いは無に等しく、
一昔前では外見だけ同じで中身は違っていましたが
もはやこれも昔の話、
ロボットと呼ばれる存在は改良という改良を重ね身体は血が流れるようになりました。
それもオイルといった類ではなくちゃんと赤血球や白血球などが含まれています。
このロボットも精子と卵子を受精させて増殖します。
唯一の違いは、人間よりもロボットの方が脳が発達しているという点ぐらいなものでした。

そして、人間対ロボットの戦争が始まりました!
人間はロボットに敵うはずなく敗れてしまい、人間はみんな虐殺されてしまいました。

"ははは!これからはロボットの時代だ!"

しかし、ロボットの時代になったものの人間の時代だったころとあまり変わりませんでした。
行うことや犯罪、考え方もそんなに人間とさほど変わらなかったのです。

やがて、ロボット達はいつのまにか人間と名乗るようになっていきました。
人間達は自分の労働状況をよくする為にロボットを作りました。
それは高度なロボットではなく簡易なロボットです。

数世紀過ぎました。
人間は高度なロボットを造ることに成功しました。

そして、ロボット達は今日も叫びます。

我々ロボットに人間を殺す権利がないとはどういうことだ!
なんで我々はあんなSF小説に書かれていたことに左右されなければならないのだ!
今こそ人間を淘汰しよう!





2009/5/18 (Mon.)
コメント



虚無の思想

2009/5/19 (Tue.)
(えー・・・)



未来の或る国

2009/5/20 (Wed.)
遠い遠い未来。
人々はまだ不老不死を手に入れることはできませんでした。
しかし、不老不死に近くすることは可能になりつつありました。
人間の平均寿命は1000歳を超えてました。

老人達は今日も自分の財産や利権を守るために必死です。
そんなもんです。

老いた世代は若い世代に、
若い世代は老いた世代に常に失望に近い感情を持っていました。
どの時代も変わらないものですね。

「古い世代は自分の利権に執着しすぎている!」
「あいつら常におれらを批判しているが、批判できる立場にいねぇ!
あいつらは老い過ぎてなにも役に立たないし、なにも生み出せないじゃないか!」
「役に立たないあいつらなんて殺してしまえ!」

そんなことがあり、革命が起こって未来の世界でも独裁者が誕生しました。
人間は700歳を超えると殺されるようになりました。

「いやだ!まだ死にたくない!私はまだ若い!」
「・・・なんで、こんなことに・・・」

"なぜ老いた人間を殺すかというと役に立たないからだ"
独裁者はそう考えていたわけです。
やがて、役に立たない人間は世代も関係なしに殺されるようになりました。
人々は役に立つ人間になるため必死です。

しかし、独裁者は次々と殺していきました。
役に立つ人間の条件が増えていったからです。
役に立つ人間はもはや独裁者にとって都合のいい人間になってしまったのです。

老いた世代が好き放題する時代に腹を立て革命を起こしたのですが、
あの時代よりも悪い時代になってしまったのです!

やがて、役に立つ人間を識別する機械は改良という改良を重ねました。
今日もそれを使って判断し、たくさん人を殺しています。
独裁者がそれを視察します。
「はっはっは!」
独裁者の笑い声がこだまします。
「あれが、その識別する機械でございます」
「あれのおかげで世の役に立たない人間が淘汰されるわけだな!すばらしい!」
独裁者がそんなことを言っていると、
その識別する機械が独裁者の方を向いて大きく鳴り響きました。

独裁者は大激怒し、
役に立つ人間を識別する機械に関係した人間をすべて殺しました。

「いちいち識別し、殺すようでは駄目だ!もっと効率よくやれ!」

そして、役に立たない人間だけを殺すウイルスが完成しました。
そのサンプルレポートを読みながら独裁者は
「すばらしい!今すぐにこの国全体にこのウイルスを撒き散らせ!」
と命令しました。



独裁者が死ぬ1日前の出来事でした。



命有限説

2009/5/23 (Sat.)
命は有限であるものだとする考えが一般的になってからもう数年が経ちました。
命は石油のように有限なものなのです。
だから燃料が切れてしまうと動かなくなります。

やがて、その燃料の命を補給できる機械が完成されました。
どうやって補給するかというと人間の身体から命を抜き取り
補給したい身体にその命を入れます。
するとその命を補給された身体は寿命が延びます。

家畜と呼ばれる動物は人間にとってただの蛋白源のように
下の人間は上の人間にとってのただの命の供給源になりました。

命が明確に取引される時代になっていきました。

命の値段は下の人間が一生働いて得られるお金の倍以上ありましたから、
お金は先払いで死ぬ前に贅沢したいと考えた人がたくさん存在したのです。
自分の命を売る人間が続出しました。

しばらくしたら下の人間がかなり減少しました。
上の人間はかなり困りました。

なので、精子と卵子を授精させてすぐその命を抜き取る企業ができ始めました。
それができたため命の値段は下がりました。

いつしか人間は昔よりかなり利己的な生き物になってしまいました。
醜い魂を持ってても自分が可愛いのです、仕方ありません。

子供のお小遣い程度で命が買える時代です、
人々は寿命に関して心配しなくていいようになりました。



やがて彼らが住む星や宇宙に寿命が来てしまいました。
もうこの星や宇宙は崩壊してしまいそうなのです。
「いやだ!死にたくない!」
「なんで私が死ななくちゃならないのよ!」
崩壊することを知った彼らは慌てふためきました。
利己主義や独善主義に陥った彼らにとって
この星や宇宙から逃げる技術は皆無でした。

やがて宇宙が崩壊し彼らは
"まだ生きたい"
と思いながら死んでいったそうです。
終わりのないものなどなかったのです。



虚無の思想

2009/5/26 (Tue.)
「人生について分かってきた気がする。
つまりあれさ、人生とは楽しむべきものなのさ」
「そういえば、卜部兼好の徒然草にそんな感じのことも書かれてたよね、
"名誉や利益にまどわされず「心しずかな暇」を楽しむのが、私が求める境地である"ってね」
「僕も求めようかな・・・」



虚無の思想

2009/5/27 (Wed.)
「食べるために生きるな。生きるために食べよ」



< [戻る] >
inserted by FC2 system